味コスモ

親密さの味コスモのレビュー・感想・評価

親密さ(2012年製作の映画)
4.5
わけても、夜明けの長回しとラストシーン。これはほんとうにすごい。映画を見る悦びに満ちている。何度も思い返してしまう。

映画内で2011年2月の日付が進むと、どうしても考えてしまうのは、そのあと3月に起こる震災のことだ。この映画の中の日本では、あの震災は起こる(起こった)のか?

『親密さ』は、『三月の5日間』(イラク戦争開戦)以降、東日本大震災以前というタイミングだからこそ生まれた作品だと思う。劇中舞台でのTwitterの扱われ方のポジティブさも、あの時期の空気感を思い出させた(オールナイト上映で『何食わぬ顔』と一緒に見たのだが、『何食わぬ顔』が2003年制作の作品であることも、そんなことを考えるひとつの要因だったかもしれない)。

劇中舞台の本番が震災直前の3月初めだったことは、あとから知った。もしあの舞台が3月11日以降の公演だったとしたら、『親密さ』はいまのものとはまったく異なる雰囲気を持つ作品になっていたんじゃないだろうか。制作は震災を跨いだはずだが、その頃どんな思いで作品を完成させたのか、いまとても知りたい。
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