シロクマ

ばしゃ馬さんとビッグマウスのシロクマのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

いわゆる『痛い人』を撮ることに
関していえば、吉田恵輔監督と吉田大八監督がずば抜けて上手いと思ってる。本作も、才能がないと自覚しつつも脚本家の夢をあきらめきれない女と、一作も書き上げたことないのに根拠のない自信に満ち溢れてる男という『痛い人』たちの話。
監督という言葉やプロ脚本家に目の色を変える麻生久美子。女同士の現状報告でつい見栄をはっちゃう麻生久美子。なんか可愛らしかった。
ビックマウス役の安田君は最初はイラッとするのだが、素直に謝ることができ、憎めない役柄だった。旅館にカンヅメになって脚本を書き上げようとするシーン、『逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ』からの爆睡はベタだが笑ったw彼のように夢とは違うけど、『やったこともないのにあれくらい自分でもできるよ』みたいなことは結構あるあるだと思う。例えば、その観光地に行ったこともないのにインターネット等の情報だけでまるでその場所に行ったかのように話ちゃったりね。自分はこの作品観て改めて反省しましたね。
元カレが働く介護現場を取材するんだけど、その元カレに『そんな脚本は綺麗事だ。現実はこんな過酷なんだよ』って説教されるシーンはグッときた。そうそう、実感がこもってない綺麗事ばかりのシナリオってなんも面白くない。終盤、麻生久美子も安田君も、自分の実情を反映させた脚本を書こうとそれぞれ奮闘する。今までの作品よりも面白い脚本になったんだろうなと思う。本作そのものが吉田監督の実体験に基づいているところがあるから面白いのと同じように。
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