わふる

ゼロ・グラビティのわふるのレビュー・感想・評価

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
4.3
地に足のついたSF。
まぁ浮いてるんやけど。

僕のおじいちゃんがこの映画のファンで、僕も何度か見せられたけど毎回途中で見るのをやめてて今回初めて最後まで鑑賞。めっちゃ面白い。

長回しが多いのと、ストーリーがとてもシンプルで、人を選ぶ作品ではあると思う。僕にはこのゆっくりとした切り口がダイレクトヒットした。

つかみの長回しで一気に作品に引き込まれる。宇宙空間を味わうのには充分すぎる余白があった。とにかく無限の宇宙空間に放り出されず生き延びることが念頭にあって、この宇宙の闇がずっと怖い。漠然とした死が常に付き纏う。ワンシチュエーションでハラハラドキドキさせられた。

音の切り替えも見事。宇宙服の中に入り込む形で切り替えられる音響や通信音声のノイズのかかり具合、宇宙空間での独特の無音感など作品に没入するために必要な編集が随所でされていた。多分僕が気づいてない部分のこだわりもすごいんだろうな〜

突然挟み込まれた一人称視点のカットも良かった。飽きさせない工夫が施されていて、ずーっと面白かった。ラストにはしっかり興奮して感動した。

謎の生命体も、新しい惑星もいらない。変に背伸びをしていない、ワンシチュエーションで戦う地に足の着いたSF。そこが粋。
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