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トランセンデンスのスガルのレビュー・感想・評価

トランセンデンス(2014年製作の映画)
3.7
いい映画でした。
SFサスペンスとしてはしっかり作られた映画なんじゃないでしょうか。
ジャンルをサスペンスとして観るべき映画だと感じました。
はじめの部分は怪奇小説の「猿の手」と同じで、意識したのかな。愛に突き進む女性と理性的な男性って構図も同じ。そのほかのシーンでも俳優さんの立ち位置は全員違和感ない感じでかなり考えられてたような気がする。
意外と感動できるところが多くて、ジョニーが最初に死ぬシーンやレベッカホールさんが画面のジョニーと話しながら眠りにつくシーンでも涙でそうになった。目が見えなかった人を治療する場面などでも。当然エンディングでも心動かされました。
いまどき迫撃砲が使われたりジョニーのパワーの失速が少しだけ残念でしたけどこの結末でよかったと思います。
猿のエピソードは、映画「ジョニーは戦場に行った」が頭に浮かびました。動物実験とは神の行う領域なんだろうな。相手が人間ならなおさら。
人間って大義のためなら残酷なことすることやどうあるべきか?ってことも訴えようとしてたような気がします。
登場人物に感情移入できて応援する気持ちで観れました。

NHKの特集を観たあとにこの映画を思い出しました。このあと数年でこの映画の価値が上がることになるかも。
もうすでに人工知能が導入されてるアメリカの会社の姿を知ると恐ろしくなりました。
人事に関して冷徹に判断してる人工知能。
未来は感情が入り込めない社会になるのかも。
ほんの一部のエリート弁護士以外はただ単に書類の選別などしか弁護士にさせていない法律事務所とかびっくり。しかも能力のない弁護士だと判断するのは人工知能が行なってる。

この映画でもありましたが人類の理解を超えた領域に人工知能が到達したら抑制が効かないんじゃないかな。
神に等しい存在を作り出すことは恐ろしいのにもう人類はその方向に向かってしまってる。
役でジョニーは暗殺されるけど現実でも切実な問題かも。
荊軻役になる人が現実でも必要なのかな。秦はすぐ滅びたから結局現在の価値観の世界は滅びる運命なんだろうけど。
ターミネーターの世界が身近になってきた。そう考えるとあの映画はすごい時代を先取りしてたんだなあ。
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