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パトリオット・デイのJIZEのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
3.9
2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の裏側を題材にボストン警察殺人課の刑事トミー・サンダースの視点で描いた実録パニック群像劇‼不気味と静けさが上質にブレンドされたような作品だった。まず開幕のドアを蹴破る突入劇は『ボーダーライン(2016年)』の雰囲気をやや意識させた。また原題の『Patriots Day』は毎年ボストンマラソンが開催される"愛好者の日(祝日)"を指してる。観る前は政治と犯罪を絡めた重苦しい作品かと予測した反面,例えば『ソーシャル・ネットワーク(2011年)』のような抜けが効き程好い疾走感,それでいてダークな雰囲気に序盤から包まれた。主に本物のニュース映像,血の海と化すボストン場内,爆破事件から繋がる誘拐と接触など監督ピーターバーグは前作の『バーニング・オーシャン(2017年)』に続き実在感の再現に抜かりなく完成度を意識させるものだった。現場に転がる肉片や被害者の悲鳴,鳴り響くサイレン音など当時の悲惨な状況をうまく体現させている。特に中盤では誘拐劇のエッセンスもまぶし加害者側の動向も加えエンタメ展開へ丁寧に昇華させていたように思う。車内の秒単位で目線を走らせる感じの緊迫感は良い。多くのヒトが観るべき作品だ。特に主人公が自分の同僚に自分の過去を吐露する場面はテーマに直結する脚色だと思う。テロ側が悪で警察側が善という単に組織と戦うアメリカ万歳映画でなかった事が良かった!事件発生から犯人逮捕までの経緯プラスαで当時の映像やインタビュー映像の演出で説得力が増し劇映画内でも実像的で極めて秀作だった。
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