Sari

化身のSariのネタバレレビュー・内容・結末

化身(1986年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2021/12/01 WOWOWプラス(録画)

原作は、『失楽園』『愛の流刑地』の作家・渡辺淳一の同名恋愛小説。

鯖の味噌煮が食べたいと言う、地方出身で純朴な若いホステスの霧子は、銀座のバーの客として現れた文芸評論家の秋葉と出会う。
秋葉は霧子の未開花な匂いに魅了され、強引に誘い出し自分の女にし、マンションを与えたり、ブティックを持たせるまで霧子に夢中になる。二人の関係は深まっていくが、秋葉の想像を超え、霧子は日増しに美しくなり、同時に生活も派手になり、自立した考えを持つようになり、秋葉の束縛を疎ましく思うようになるという物語。

映画初主演にして、ベテランの藤竜也を相手に、全裸で体当たり演技を披露している黒木瞳。宝塚の娘役から一転、大胆な映画デビューで宝塚から非難されたというが、完成された美貌と確かな実力が感じられる。
因みに、10年後に主演した『失楽園』は、公開当時は小説の人気も相まって社会現象となった。

藤竜也は、若い頃のアクション俳優として定着していたイメージ・チェンジのための出演だったようだが『愛のコリーダ』('76)『愛の亡霊』('78)などの大島渚監督作品で見せた色気をそのままに、若い女性を自分好みに育てようとする男のエゴイズムと悲哀を見事に演じている。藤竜也あっての作品と言えるだろう。

'80年代のバブル期の銀座の街や喫茶店、霧子が洗練されていく特に後半、アメリカから帰国してそれまでのロングをばっさりショートにし、大ぶりのイヤリングに派手なファッションも見所。
エンディングの高橋真梨子の歌が、'80年代ドラマ的なのが映画としては少々…。

2021-333
Sari

Sari