Sariさんの映画レビュー・感想・評価

Sari

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天使の欲望(2013年製作の映画)

2.5

新鋭・磯谷渚監督の中編作品。

磯谷監督は、最新作『Polar Night』で、高橋洋の共同脚本で、長編監督デビューを飾ったばかりだが、磯谷氏の映画美学校時代の処女短編作『わたしの赤ちゃん』でも製作陣
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阿賀に生きる(1992年製作の映画)

4.0

佐藤真監督の長編デビュー作。

新潟県阿賀野川流域を舞台に佐藤真監督と7人のスタッフが3年間密着して撮影したドキュメンタリー。

1965年に発生した新潟水俣病の被害を受けながらも、川と共に生きる人々
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ブロンテ姉妹(1979年製作の映画)

3.5

英文学史に名を残すブロンテ3姉妹の半生を描いた伝記映画。

19世紀、ヨークシャーの牧師館にブロンテ一家は住んでいた。3姉妹は密かに小説を書き、まずシャーロットの「ジェイン・エア」がロンドンで出版され
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冬時間のパリ(2018年製作の映画)

3.5

冬のパリを舞台に、電子書籍の波が押し寄せる出版業界を舞台に描かれる2組の夫婦関係の錯綜した恋愛コメディ。

出版業界や政界で成功を収めるインテリの登場人物たちが、酒と料理を楽しみつつ、抽象的で深い議論
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美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.8

写真家ナン・ゴールディンの人生とキャリアを追い、彼女が医療用麻薬オピオイド蔓延の責任を問う活動を描くドキュメンタリー。

2022年・第79回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞作品。

◾️
ナン・ゴ
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中森明菜イースト・ライヴ インデックス 23 劇場用 4K デジタルリマスター版(2023年製作の映画)

4.0

歌手中森明菜のデビュー8周年を記念し、24曲のシングル曲のみを歌ったライヴ・ステージ。

収録日は、1989年4月29日と4月30日よみうりランドEASTにて開催さた2日間のライブを編集したもので、1
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愛・旅立ち(1985年製作の映画)

3.0

東宝制作による舛田利雄監督作品。
近藤真彦と中森明菜が共演した、昭和のアイドル映画という枠にとどまらず、超常現象の特撮を取り入れた一風変わったメルヘン映画となっている。

物語は、大型トラックとカーチ
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リバイバル69 ~伝説のロックフェス~(2022年製作の映画)

3.5

1969年、カナダで行われた伝説のロックフェスティバル「「トロント・ロックンロール・リバイバル」の舞台裏を描くドキュメンタリー映画。

フォークソングに熱狂する音楽シーンの中で、数々のロックスターたち
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マグダレーナ・ヴィラガ(1986年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ニナ・メンケス監督の長編第2作。

物語は、殺人の容疑をかけられて逮捕された娼婦アイダを主人公に据え、彼女が生きる残酷な現実世界と内なる心の世界を、退廃的で美しい映像で描き出す。メンケス監督の実妹ティ
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麻希のいる世界(2022年製作の映画)

4.0

青春ドラマでありながら、重いテーマにも取り組んだ作品。

物語は、病気を抱え孤独な高校生の由希が、同じ学校の生徒で、同じく周囲から孤立している麻希との運命的な出会いを通じて希望を見出す姿を描く。

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クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

5.0

ニナ・メンケス監督の最高傑作と評される映画である。
ニナ・メンケスの実妹ティンカ・メンケスが演じる主人公フィルダウスが、ラスベガスのカジノでブラックジャック・ディーラーとして働きながら、倦怠感に満ちた
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ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

1980年代からアメリカのインディペンデント映画シーンで活躍する、ニナ・メンケス監督の特集上映にて。
本作は、彼女の初公開作品『マグダレーナ・ヴィラガ』(1986)と『クイーン・オブ・ダイアモンド』(
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天国の日々(1978年製作の映画)

3.5

鬼才テレンス・マリックの代表作。

20世紀初頭のテキサスの農場を舞台に、農場の季節労働者となった男女と雇い主との愛憎を詩的な映像美で描き出す。

◾️
左右対称の広大な平原を背景としたマリック監督の
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相続人(1973年製作の映画)

3.5

ジャン=ポール・ベルモンド主演のポリティカル・サスペンス。

父親が経営するヨーロッパ屈指の巨大企業を継ぐことになった御曹司が、経営を大胆に刷新しながら父の死の真相に迫り、そこに潜む陰謀を明らかにして
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J=P・ベルモンドの エースの中のエース(1982年製作の映画)

3.8

ジェラール・ウーリー監督と、主演ジャン=ポール・ベルモンドの再タッグ作品。

ベルリン・オリンピックを背景にした戦争アクション・コメディ映画。

ナチス政権下のベルリン五輪の真っ只。
ベルモンド演じる
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冷たい水(1994年製作の映画)

3.5

オリヴィエ・アサイヤス監督が、70年代の若者を描いた自伝的作品 。

1972年のパリ郊外。同じ高校に通うジルとクリスティーヌは、素行不良とみなされ、クリスティーヌは施設に入れられ、ジルは退学処分警告
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男女残酷物語/サソリ決戦(1969年製作の映画)

3.5

日本初公開のイタリア製アバンギャルド・スリラー。

慈善財団の大幹部でありながら、拷問技術の達人でもあるセイヤーと、彼がジャーナリストのメアリーを拉致監禁して行う凌辱の限りを尽くす。しかし、セイヤーが
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宗方姉妹(1950年製作の映画)

3.8

小津安二郎監督松竹を離れて初めて新東宝で撮影した、大佛次郎の同名小説を原作とする文芸作品。

何事にも保守的な節子(田中絹代)は、自由奔放に生きる妹の満里子(高峰秀子)と同居して面倒を見ている。夫・亮
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ヒッチコックのゆすり(1929年製作の映画)

3.5

アルフレッド・ヒッチコックの不動の名声を築き上げた作品。ヒッチコックの映画監督としてのキャリアにとって重要な転機となった初のトーキー映画。

1928年にチャールズ・ベネットが発表した同名の戯曲を下敷
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WALK UP(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

韓国の名匠ホン・サンス監督による人間ドラマであり、都会の4階建てアパートを舞台に、芸術家たちが織りなす人間模様を描く。


映画監督ビョンスと彼の娘ジョンスが、インテリア・デザイナーである旧友ヘオクの
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マルコヴィッチの穴(1999年製作の映画)

4.0

ビデオ作家として成功したスパイク・ジョーンズの初監督作品。

「ジョン・マルコヴィッチの頭に通じる穴を見つける」という奇想天外な脚本が受け、脚本を担当したチャーリー・カウフマンは数々の賞を受賞した。
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わんぱく戦争(1961年製作の映画)

3.5

フランス映画界きっての異才イヴ・ロベール監督の日本初公開作。南フランスの美しい自然を舞台に2組の子ども(少年)たちの争いを独特の軽快なタッチで描いた傑作コメディ。

二つの村の子供たちはいつも喧嘩ばか
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黒い罠(1958年製作の映画)

4.0

メキシコ国境の町に拡がる陰謀を描いたW・マスターソンのミステリ小説を、オーソン・ウェルズが脚色・監督したフィルム・ノワールの最高傑作。

メキシコ国境の小さな町で起こった車の爆殺事件。偶然にも現場を目
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アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

3Dにて鑑賞。

戦争の傷跡を忘れないために、抗うように創作を続ける、戦後ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーの軌跡を追ったドキュメンタリー。
映像は奥行きのある画面構成、太陽光の美しい描写、
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ケス(1969年製作の映画)

4.0

ケン・ローチ監督の初の長編映画作品。
ローチがテレビでの仕事で培ったリアリズムの手法を映画に移行させたものであり、後の彼の作品の方向性を示すものとして重要な作品である。

イギリス・ヨークシャーの小さ
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.5

さまざまな男女が織り成す悲喜交々の人生模様を、全編ワンシーンワンカットによる計33の場面で描いた映像詩。

場所も時代も異なる状況のなか「〇〇を見た」というナレーションとともに映し出されるのは、様々な
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狂った一頁(1926年製作の映画)

3.5

衣笠貞之助監督が、横光利一や川端康成などの新感覚派の文学者と結成した新感覚派映画聯盟の第1回作品で、日本初の本格的な前衛映画(アヴァンギャルド映画)である。

物語は、精神病院の小使い(井上正夫)はも
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バルバラ ~セーヌの黒いバラ~(2017年製作の映画)

3.5

フランスのシャンソン歌手、バルバラ(1930~1997)を題材にした、俳優マチュー・アマルリックが監督を務めたドラマ。

女優で歌手でもあるジャンヌ・バリバールがフランスのシャンソン歌手バルバラを演じ
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ジュリエッタ(2016年製作の映画)

4.0

スペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督が、カナダのノーベル賞作家アリス・マンローの小説を原作に、一人の女性の波乱に富んだ半生を描いたドラマ。

マドリードに暮らす美しく洗練された中年女性ジュリエッタ。
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夜ごとの美女(1952年製作の映画)

4.0

巨匠ルネ・クレールが俳優ジェラール・フィリップと組んだ第二作目のコメディ映画。

巴里の下町、外の喧騒。生活に嫌気が差したしがない音楽教師クロードは夢の世界に迷い込み現実と夢の世界を行き交う。夢の中で
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パリでかくれんぼ(1995年製作の映画)

4.5

パリを舞台に、三人の女の子それぞれの冒険をミュージカルを織り交ぜて描いた作品。
1996年の公開版より10分長い完全版(デジタルリマスター版)である。

恐喝から足を洗い、宅配のバイクのドライバーにな
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悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

4.0

ゲーテの戯曲『ファウスト』を監督のルネ・クレールが翻案し映画化した作品。

主人公ファウスト博士(ミシェル・シモン)は大学者だが、老いの悩みには勝てない。そこに悪魔メフィストが付け込み若さを取り戻さ
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鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.8

中国の気鋭ディアオ・イーナン監督が、中国社会の底辺で生きる人間たちの現実を鮮烈な映像で描いたノワールサスペンス。

誤って警官を射殺し賞金首となってしまった男と、男の前に現れた謎めいた娼婦が繰り広げる
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.5

コルム・バレード監督の長編デビュー作品。

バレード監督は、これまで数々のドキュメンタリー作品で子どもの視点や家族の絆を描いてきた手腕を持つ実力派で、本作でもその真摯なアプローチが発揮され、物語性にあ
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地に堕ちた愛 完全版(1984年製作の映画)

3.8

リヴェットの遊び心と実験精神満載の愛憎劇。日本劇場公開時より51分長い完全版である。

実験的な演劇に取り組む二人の女性を主人公にして、演劇が人生を模倣していたはずが、次第に人生が演劇を模倣し始めると
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.3

道楽者の老人の放蕩ぶりと、そんな彼に一喜一憂する家族の姿を描いた小津安二郎監督晩年の秀作。

本作は、役者の動作から座り方まで、細部にわたって計算し尽くされた様式美が特徴である。そして、印象的なラスト
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