Sari

ROLLING STONE ブライアン・ジョーンズの生と死のSariのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ザ・ローリング・ストーンズの創始者である、ブライアン・ジョーンズの人生と死の真相に迫るドキュメンタリー。

ザ・ローリング・ストーンズの初代リーダーとして、バンドと共にブリティッシュロックシーンをけん引したものの、麻薬に溺れて27歳でこの世を去ったブライアンの死について掘り下げる。

1960年代半ば、ザ・ローリング・ストーンズのリーダーでギタリストのブライアン・ジョーンズは、ミック・ジャガーらとバンドを結成して成功する。女優のアニタ・パレンバーグとの交際でも注目を浴びた彼は、やがて麻薬に溺れていく。ブライアンは、亡くなる直前はアルコール依存症、薬物依存症(持病の喘息の薬)で、依存症が最も悪化していた1969年にメンバーから脱退を勧告された1ヶ月後の1969年7月3日にイースト・サセックスのコッチフォード・ファームにある自宅のプールで水死体となって発見される。享年27歳。27クラブの嚆矢としても極めて著名である。
事故死の検死結果が出たものの、彼の死は他殺だったという陰謀説が浮上する。

これまでの伝記小説や映画でもブライアンの死因が、他殺・陰謀説を示唆している。
『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』2007年の伝記映画である。公開時に観て以来で記憶が曖昧なのだが、この映画の最後は、溺死で終わっていただろうか。

本作で描かれていることは殆ど知ったことばかりだが、ブライアンの友人、元恋人の女性が当時の証言をすることで、具体的に理解ができた。
特に67年5月、68年5月に麻薬で逮捕された時、家宅捜索が入った警察に嵌められた詳細が、その時にブライアンと一緒に居た友人から語られる。当時、カウンターカルチャーの象徴であったブライアンを筆頭に(ミックやキース以上に人気を誇り影響力があったため)ローリング・ストーンズを社会から抹殺、排除することで世間の若者に麻薬の恐ろしさを知らしめるために仕組まれた罠だった。
ただ、その逮捕がブライアンを破滅に追い込む決定的なものとなってしまう。

他殺説の関連では、本作に登場するブライアンを取り巻く人間で怪しい人物の1人、ストーンズのマネージャー:トム・キーロックが、ブライアンの死の直後のコッチフォード・ファームで何かを燃やしていたという目撃情報にも言及。

ブライアン・ジョーンズの娘が登場し、独自のリサーチによる他殺・陰謀説を証言している。
おそらく、2019年に娘のこの発言によって、本作の製作に至ったのではないかと見ている。生前ブライアンと最後に会った建設業者のフランク・ソログッドと関係が悪化していた。仕事をしないソログッドに不満を抱えていたブライアンだが、ソログッドはブライアンに給料を要求した。ブライアンはコッチフォード・ファームの自宅を購入し資産は残らなかったそうだが、事件当日、ブライアンの金目当てにソログッドと他メンバーで、パーティを開いていた。パーティの最中、喧嘩の末にブライアン・ジョーンズを殺害したという説が有力だとしている。ソログッドは1993年に亡くなる前にブライアンの殺害を認めたとも言われている。
ブライアンの司法解剖の結果、血中アルコール濃度は極めて低く、泥酔してプールで溺れた確率は低い。肺には、プールの漂白水ではなく、真水が残っていた。真水はプールから離れた桶の水と推測。

陰謀説以外で、一番良かったのはフォルカー・シュレンドルフ監督『A Degree Of Murder』(1967年)元恋人アニタ・パレンバーグ主演、ブライアンがサントラを担当した映画のワンシーンが観られたこと。

制作が2020年のコロナ禍だったことで公開が遅れたのだろうか。今春の劇場公開はオフィシャルサイトによれば、東京、京都、九州で4館のみだったようだが、配信で観ることができて良かった。
Sari

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