Ayako

ハンナ・アーレントのAyakoのレビュー・感想・評価

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
4.8
「一つの民族を愛したことは一度もない。私が愛したのは友人だけ」という言葉が響いた。

人は何か(主張、できごと)を理解するのに、己の尺度で一方的にカテゴライズする。そして自身の「良識・常識」に耳障りであれば一方的に中傷する。
その一連の流れに「思考」は組み込まれておらず、機械的に、右から左と言った具合で「好きか嫌いか」で判断する。
それらに警鐘を鳴らすという映画。
自己を疑う「哲学・思考」は苦しく、(アイヒマンのように、そして私たちのように)出来ない人が多い。そして、自分に出来ないから(自分の常識の範囲外であるから)、「嫌い」になり「排除」する。その際に批判する本人は「なぜ攻撃するかを理論立てて説明出来ない」。
登場人物の行動を含めた映画丸々が、アーレントの主張であり、よくまとまっている。

思考とは、「勇気を持って」「自分自身と対話する」という事。まさにその通りだと思った。

教訓にすべき映画。楽しむ映画ではない。
感情か、理性かどちらが優れているか、ではない。互いに「理解が必要」ということがポイント。
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