B姐さん

赫い髪の女のB姐さんのレビュー・感想・評価

赫い髪の女(1979年製作の映画)
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男は弱くやさぐれていて、いつもイラだっていて、暴力的で、女を平気で殴り、犯したりする。女もまた弱く、ずるく、たくましく、それでも傷つき、男に犯されながらもそれが宿命のように受け入れる。
「ロマンポルノ」のジャンルだが「実録ヤクザもの」のような戦争が男女間で繰り広げられる。だからか、すごくこの二つはどこか似ている。刹那的で、やるせなく、内包されている濃密な「生命力」が半端ないのだ。そしてそれは「セックス」を通して戦われ、解放される。「世間」とは関係のない影のようなところでキラキラと輝く。

本編と「やくざ映画」の決定的な違いは、女が圧倒的に主導権を持っていて、男は女の過去に嫉妬し、狂い、翻弄され、罠にかかりながら落ちていく。犯され、輪姦されても、「カード」は胴元である女たちが握っていて、男たちは配られるのを待つだけなのだ。「ゲーム」をしても根こそぎ持っていかれるだけだ。女の過去は語られることなく、最後まで女は自分の名前を言わない。
石橋蓮司は宮下順子とのセックスによって女を征服しようとするが、逆に「生かされて」いるという、しかもそれがわかってない滑稽さが圧巻だ。

即物的なことが売りのAVと違い全くヌキどころがない(個人的には)。でもこの女たちの匂い立つ「今を生きてる」感は興奮し、感動すらおぼえる。
この「性愛」のジェットコースターを体感して、心のザワつきが治まらない。こんな経験いつ以来だろう。

@新文芸座(8/23/2014) 35mm
P.S.ロケーション、室内撮影素晴らしす。※撮影:前田米造
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