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タンゴ・リブレ 君を想うのSariのレビュー・感想・評価

タンゴ・リブレ 君を想う(2012年製作の映画)
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タンゴ好きの自由奔放なひとりの女性を介して、内気な看守と2人の荒くれ者の受刑者が、複雑でややこしい愛憎関係を取り結んでいくドラマ。

看守と女房アリスが同じタンゴ教室に通っていることを知った囚人の夫が嫉妬してとった行動とは、アルゼンチン出身で刑務所一番のボスに頭を下げて、タンゴ指南を受けることになる。以来、刑務所中でタンゴが流行ってしまうという展開に。

物語において、タンゴは刑務所の男たちを繋ぐきっかけとはなるが、ひとりの女性と彼女を巡る4人の男の複雑な関係を描いていく。その一人は彼女の15歳の息子であり、特に刑務所の中にいる二人の男性の関係性がなかなか判然としないのだが、面談シーンで、4人が二手に別れる会話の演出で、それぞれの関係性を想像させる余白が良い。

監督はベルギー生まれ、『ポルノグラフィックな関係』のフレデリック・フォンテーヌ。
伝説のダンサー、チチョ・フルンボリが囚人役のボスとして登場。武骨な囚人たちと共に気迫のこもったシーンを披露しておりタンゴファンは必見だろうか。先の読めないスリリングな展開も、どこかオフビートなタッチが不思議なバランスを取っている。
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