ヴェネツィアで銀獅子賞を得ながらも賛否両論となったデ・パルマの戦争ドラマ。
イラクに従軍するアメリカ兵たちの鬱屈した日常をドキュメンタリー風の見せ方で描く内容です。
戦地での非人道的な行為は間違いなく糾弾されるべきですが、それを訴える方法として今作の形式が効果的だったとは思えませんでした。
ドキュメントとしてはあまりにもスタンスを取りすぎで、退屈なのに気を抜けない日々の中で正気を失っていく戦場の狂気というテーマに僅かに触れるものの、基本的には一方的にアメリカ兵の蛮行を責め立てています。
その主張は全く正しいものの、事実のみを淡々と提示するだけで誰もが同じ感情になったでしょうし、モキュメンタリー形式にするならいっそリダクテッドされたアメリカ万歳映画にした方が風刺の効いた作品になる気がしました。
