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ゲームの規則のbのレビュー・感想・評価

ゲームの規則(1939年製作の映画)
4.6
ジャン・ルノワールが第二次世界大戦前夜を舞台にブルジョワ達の痴情の縺れを描いたドタバタ群像劇。  

一人の魔性の女(公爵夫人)を中心に飛行家、候爵、公爵夫人の友人、小間使い、森番などなど、これらの登場人物が不倫、愛人関係をそれぞれで結ぶ入り組みに入り組んだ人物相関図(中々一度では把握しきれない)。映画に登場する自動人形、自動ピアノに象徴される様に機械的で形骸化した恋愛遊戯。ブルジョア達にとって恋愛そのものがゲーム的である。
 
《無慈悲で残酷なゲームの規則》
ブルジョワ達の恋愛遊戯にもそれなりに規則が存在している。さらに劇中の「どれが善いか悪いかこの世は恐ろしいよ誰にでも言い分がある」という台詞にもある通り、厄介な事にそれは人の数だけ存在している。そしてその規則を破った者はそれ相応の罰を受ける事になる。

物語の途中、何度か挿入されるブルジョア達の狩りのシーンは本物のウサギやキジを射殺しており、その殺される量も大量なため、いくら白黒とて観客に与える印象はショッキングである。これはブルジョア達の野放図で身勝手な振る舞いを視覚的に表現したもの。
第二次世界大戦前夜という設定からも分かる通り、単に痴情の縺れからの悲劇を描いているだけではなく、個人の身勝手な振る舞いは最終的に戦争という最大の暴力ヘと繋がること示唆している。

物語は目まぐるしい狂騒の後、エンディングを迎え、冒頭挿入される『フィガロの結婚』の1節「感じやすく徳高く 浮気心をなじる君 恨みごとはほどほどに 心変わりは罪とでも? 翼あるのが恋の神 あちらこちらへ飛び移る」 が痛烈な皮肉として響く。
 

これは完全に余談ですけど、フィガロの結婚と言えばアマデウスでモーツァルトが弾いてた曲目でしょ!あんな内容の戯曲を曲にするモーツァルトって天才だけどほんとムカつくよなぁ!(怒怒怒怒怒髪天)
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