ABBAッキオ

ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズのABBAッキオのレビュー・感想・評価

4.5
1985年アメリカ。コッポラとルーカスがプロダクション。緒形拳が三島由紀夫(祖母、加藤治子、母 大谷直子)で、1970年11月25日の自決に至る1日を回想を交えつつ演じ、劇中劇として三島の三作品をイメージ的に挿入している。ちなみに3作品は、金閣寺(佐藤浩市、板東八十助、笠智衆) 鏡子の家(沢田研二、李麗仙、烏丸せつ子),奔馬(永島敏行、勝野洋)。ここに挙げただけでも今日まで名前の残る名優揃いであり、アート・プロダクションは石岡瑛子、音楽フィリップ・グラス。監督、脚本はアメリカ人、撮影は日本という日米合作映画でこれほど完成度の高い映画は他にないだろう。
 この年の第1回東京国際映画祭に出品予定だったのに、三島未亡人の内容に関する反対で日本公開が見送られ、その措置に抗議したコッポラやルーカスたちも訪日をとりやめた。細部の事情は分からないが、実に惜しい逸機だった。今日でも本作は正規に日本では販売されておらず、海外版を購入する必要がある(Youtubeでは不完全ながら見られるようだが)。クライテリオン版には監督、石岡瑛子らのインタビューを含むドキュメンタリーがついている。ともかくこの映画が知られていないのは日本映画史にとっても大きな損失だと思う。
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