のこのこのこっち

鳳鳴 フォン・ミン 中国の記憶ののこのこのこっちのレビュー・感想・評価

-
おばあちゃんが延々1人で昔話してるだけ。カット数が少ないというだけだと当たり前すぎるので思ったこととすると何度か「覚えていない」と言っている箇所があるのが気になった。例えば、夫の死に目に遭えず、悲嘆した壕で死人の布団で夜を過ごすとき。「隙間から星が見えた。寝て起きて寝て起きてどう過ごしたか覚えていない」なのだが、妙に人間の記憶に実際は残らない強調に満ちていて、「あー、自慢話ね」くらいにしか感じない。そりゃ実際におっしゃる経験されたんでしょうけど、個人の主観に寄り添いすぎることで現代中国史ってよりほんと単なるばあちゃんの昔話。そんなん当たり前でね、幾ら写真に収め、本を著すなんてことしてようが、人間一年前に何があったかなんて忘れてるじゃん?そんなん激動を生きたって同じだよ。全部の記憶が曖昧なんじゃないのって、疑わしさばかり感じてしまう。

1932年生まれの和鳳鳴(和凤鸣)さん。難関大に受かるもそれを諦めてまで進んだ甘粛日報社での夫、王景超との歩み。政府にも沿うはずの活動が正反対の扱いの冤罪で黒い結社などと言われ右派のレッテルを貼られ投獄など紆余曲折。90年代から執筆し、作品公開時も精力的に活動している。

(敵ではなく)「誤りを犯した同士」とか(飢えに対し)「生きるための闘争」などと人に言われたのや初めて「可愛い人」と夫に言われたのを嬉しく語るわけです。まあ、そうだろうねとしか言えないわ。