こた

甘い鞭のこたのレビュー・感想・評価

甘い鞭(2013年製作の映画)
4.0
まさかこの映画で泣きかけるとは。想像以上に苦しかった。


壇蜜演じる主人公は高校生の時に拉致監禁され、そこであまりにも惨たらしい仕打ちを受ける。命からがら逃げ出したものの、その事件をきっかけに家族は離散し、仲の良かった母とは敬語で話すようになった。それから15年、彼女は昼間は女医として、夜はSMクラブで「あの時味わった甘い味」を求めM嬢として働いていた。


主人公は二重の被害者になってしまう。
おぞましい性犯罪に巻き込まれやっとの思いで家に帰ってこれたのに、そこで待っていた母は全てを察して娘を拒絶してしまう。よく分からないけど、こういう時って全ての母親は絶対的に娘の味方で「怖かったね、辛かったね、でももう大丈夫だよ」って言ってくれるものだと思ってた。でも今回の場合、その言葉をかけてくれたのは家族でも知人でもない第三者で、母親は『化け物を見るかのような目つきで』娘を見た。
きっとここで母親が抱きしめてくれていたなら、彼女の人生はここまで歪なものにはならなかったと思う。
彼女が真に求めていたのは「甘い味」だけではなかった。

レイプとかSMといった過激さだけに終始せず、性犯罪被害に遭った女性の深い闇が描かれた文句無しの胸糞作品。
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