のわ

アメイジング・スパイダーマン2ののわのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

僕がこの映画を劇場で見た時は、確か小学生だった気がする。歳月を経て考え方が変わり、意見が変わる映画は多くある。例えば、「ダンサーインザダーク」
、「ガルヴェストン」、「時計じかけのオレンジ」その多くは鑑賞中や後の気持ち悪さに「もう二度とみたくない」と決していい評価しなかった。しかし、時間を置いて、思い返してみると考え方が変わったりする。本作は鑑賞からずっと変わらないまま、僕の大好きな作品だ。劇場で見た感覚を今でも思い返すほど、鮮明に覚えている。

アメイジング・スパイダーマンのピーターには、人を惹きつける何かがある。それはきっと、ヒーローとして活動する一方で、カリスマ性を感じさせない人間としての魅力。僕たちの延長線のような人間像を描ききることで、憧れを抱かせ続けたことだと僕は思う。

エリクソンは青年期の発達課題を「自我同一性(アイデンティティ)の確立」としている。グウェン・ステイシーの恋人で、普通の大学生のピーターと街を守るヒーローのスパイダーマンであるピーターは、その二面性にとても苦しめられている。どちらも捨て難いピーターパーカーだった。どちらを本当の自分とするのかアイデンティティをどこに置くのか。彼が彼である理由は僕たちを人たらしめているものと通づるものがある。

スパイダーマンはいつだって他でもない自分を犠牲にしてきた。そんな姿に僕たちは憧れる。スパイダーマンは僕たちの心の1部でピーターに恋するグウェンもまた、僕たちの心の1部なんだと思う。だからこそ、グウェンの死は僕たちの心の1部が剥がれ落ちるほど震えるのではないか。喪失と再生の間にある葛藤と衝突にこそ僕たちが前に進むためのヒントがあり、本作はスパイダーマンとともにそのプロセスを辿ることが出来る。
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