ぬげこ

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのぬげこのレビュー・感想・評価

4.0
ツイッターでふと目に留まったこのビジュアルが
とても気になってしまって見に行きました。

誰かの感想をちらっと見てしまって
毎日を繰り返すだけの映画なのかな
3時間耐えられるかしら
なんて考えながら見に行ってしまったけれど


これは私だ。とさえ思えてしまった。

私は子育てもしてないし、結婚すらしてないから
彼女と全く接点もないと思ったのですが

自分の中の孤独を、罪を隠すように
毎日を限りなく正しく生きたいと願う
あの姿は限りなく共感を覚えました。

息子のためなのか
自分のためなのか

息子の言葉によって
(息子からは優しさを感じたけれども)
彼女の均衡が崩れていくのが
切なかった

コーヒーの味
ボタンの掛け違いや
料理の失敗
小さな事柄かもしれないけど
じわじわ何とも言えない
暗闇が心の奥から迫ってくる感じが
観ていて本当にいたたまれなかったです。

ほとんど会話も音楽もない映画ながら
どのシーンも全く飽きることなく見られました。
整然としているからこそ彼女の行動ひとつひとつに
感情の揺らぎみたいなことを感じられた気がします。

男性から見ると全く違った
感想になるのだろうなと思いました。

この孤独や悲しみに時代も国も
関係ないのだなと思えて
より悲しくなりました。
ぬげこ

ぬげこ