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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのSoulFoodKitchenのレビュー・感想・評価

5.0

「大傑作」「素晴らしい映画」「とてつもなくスゴイ映画」「生涯ベスト」
この映画を前にして、どんな「賛辞」の言葉を発したらエエんやろ。
全ての言葉が虚しく宙に舞うだけの様な気がする・・・

主婦であるジャンヌが料理をする、皿を洗う、靴を磨く、湯を沸かす、買い物に行く、部屋の電照明を点ける、消す、息子と決まった時間に散歩する、等々の、ただそれだけの何も起きない日常の生活を定点観測の如く、固定カメラの長回しで台詞も極力少なく、音楽も無く、3時間20分間見せられる。
しかし、その単調な画面に、皆は固唾を飲んで食い入る様に見入ってしまう。
我々は何を見てるのか?
何を見せられてるのか?
コレは映画なのか?
イヤ、紛れもなく映画でしか無い。

ラスト、ジャンヌは灯りを消した部屋の中で1人何を思うのか?
心が震え悶え掻きむしられる想いがした。
そのまま席に沈み込んでしまった。
(ホンマは邪魔になるから立ったけどネ)
コレを「感動」と言ってしまうのは余りに陳腐で味気ない。

人は圧倒的な表現の前には言葉を失ってしまう。

とにかく芸術が人生の糧になると信じてる人は機会が有れば「前知識」無く一生の内の3時間20分余りをこの映画の為に使って欲しい。
映画を語るには、それからでも遅くは無いと思う。

しばらくは「ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディールマン」の事が心から離れられないと思う。
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