紫陽花

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンの紫陽花のレビュー・感想・評価

5.0
これは驚きました。ひたすら主婦の日常生活が続き、ほとんどセリフがないのですが、不思議と退屈しないのです。ずっと見ていられるけど妙な緊張感がそこには漂っていて。だけど聖人君子のようなルーティンで日常が折り目正しく過ぎていく。ある一点だけを除いては。
それを当たり前のことと毎日きちんと寸分の狂いも無くやりきってきたけど、突然目の前のことに価値や意味を見出せなくなってしまったのかもしれません。
主婦、息子、近所の主婦?(声のみ)の赤ちゃん、自宅に来た男性客3名、お店の店員さん数名とエキストラのみの登場人物。

長いこと主婦をしている人、家事を主に担っている人にしか理解できない映画です。それ以外の方にはまた違う世界に見えるのでしょう。

機械操作、探し物のボタン、お気に入りのカフェの座席、泣き止まない赤ちゃん…一つでもいつも通りならこうはならなかったのか?たまたま日常のほんのささいな歪みが重なり続けて、ある日弾けてしまったのか?

深く深く考えてしまう映画でした。

主演女優さんのお洋服や佇まい、自宅のインテリア、特にキッチン横のバルコニー、家具、お皿等々センスが素敵でした。