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降霊 KOUREIの福福吉吉のレビュー・感想・評価

降霊 KOUREI(1999年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
音響技師の佐藤克彦(役所広司)とその妻の純子(風吹ジュン)は仲良く暮らしていた。純子には霊能力があり、その能力に興味を持つ心理学の学生の早坂を通じて警察の少女誘拐事件の捜査に協力を依頼される。純子は霊能力により少女を思わぬところから発見してしまう。克彦と純子の精神は次第に異常をきたしていく。

◆感想◆
霊能力を持つ妻とその夫が思わぬ事件に巻き込まれ、それによってそれまでの普通の幸せな生活が崩れていく様子を描いており、オカルトの要素を組み込みながら、根本として人間的な欲望に振り回される現実的な内容になっていました。

夫の佐藤克彦は仕事熱心な普通の男性として描かれており、妻を大事にする姿はとても理想的な人物でした。一方、妻の純子は霊能力という特殊な部分があり、そのため、人に見えないものが見えてしまって恐怖に晒されることがあります。しかし、それ以外はとても素敵な奥さんであり、2人の関係は羨ましいぐらい幸せに見えました。

しかし、少女誘拐事件に意図せずに関わってしまったことから2人は精神的に異常をきたしていきます。この少女誘拐事件への関わり方は偶然の産物だったのですが、純子の霊能力、世間体、承認欲求など様々な要素が2人が取るべき行動を誤らせてしまいます。ここが今までの純子の性格とは違い過ぎているように感じ、少し強引に感じました。これまでスポットライトを浴びてこなかった純子にとって、絶好のチャンスだと思ってしまったのでしょうか。どうも消化不良になりました。

本作ではいわゆる幽霊が描かれており、その不気味さが怖さを引き立てていて良かったと思います。日本のホラー作品特有のじめじめとした不気味さを感じられました。

霊能力、幽霊というオカルトな要素と人の欲望や深層心理の複雑さが上手く描かれた作品で、なかなか面白かったと思います。

鑑賞日:2023年10月1日
鑑賞方法:DVD
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