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六月の蛇のbのレビュー・感想・評価

六月の蛇(2002年製作の映画)
3.4
エロティック。内在的な欲求が噴出するとき、人は初めて生きる。個人的に黒沢あすかは『冷たい熱帯魚』の印象が強いが、それ以前にこうした作品に出演したことがあるのだとわかり、妙に納得した。セックスが生の一部である以上、その放棄であるセックスレスは、ある意味「完全には生きていない」状態なのかもしれないと考えさせられる。本作は性を題材にした『生きる』であり、黒沢あすかは志村喬よろしく自らの生の有限性を認識して、初めて真実の生に生きることを決意したのだ。
ところで、黒沢あすかの夫役の棒演技が妙に可愛らしかった。それと、終始雨が降っているという『セブン』や『ブレードランナー』のような演出も趣があって良かった。特に、青みがかったモノトーンで描かれた本作では雨が画面上でも際立っていた。こうした雨は「生まれ変わり」を予感させる重要な演出であった。
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