福福吉吉

ビザンチウムの福福吉吉のレビュー・感想・評価

ビザンチウム(2012年製作の映画)
3.5
吸血鬼の少女エレノア(シアーシャ・ローナン)は姉のクララ(ジェマ・アータートン)が人を殺害したため、2人とも住居を離れることになった。2人が逃亡した先で、クララが潰れたホテルを所有する男をひっかけて、そのホテルに2人とも移り住むことにした。エレノアはその場所で病に侵されている少年のフランク(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)に出会う。彼の人柄に惹かれたエレノアはフランクに自分の秘密を打ち明けるが、それを知ったクララは秘密を知った人間を殺し始める。

吸血鬼の姉妹の過去と妹の恋を描いた作品であり、一部に残酷な描写があるものの、ホラーとしての色合いは薄く、吸血鬼になった経緯を絡めながら少女の恋模様をスリリングに描いています。

吸血鬼の少女エレノアは吸血鬼であるものの、余命短く自ら死を望む者のみ吸血行為を行っており、吸血鬼の作品にありがちな血を渇望する姿はほとんど無く、限りなく普通の少女に近い印象を受けました。一方、姉のクララは攻撃的で男を相手に商売しながら、邪魔者は殺害する危険な雰囲気をまとう女性として描かれていました。2人とも吸血鬼でありながら平和的で嘘を嫌うエレノアと攻撃的で嘘で生きるクララ、と性格は対照的であり、その点がストーリーに上手くハマっていました。

エレノアが心を惹かれるフランクは外見上からも分かるぐらい今にも倒れてしまうような儚い存在になっており、永遠のときを生きるエレノアにとってとても尊いもののように感じている気がしました。

本作の見どころとして、クララが吸血鬼になった経緯が丁寧に描かれていてこの部分だけでもダークファンタジーのような面白さに満ちていました。吸血鬼という存在の定義が他の吸血鬼の作品と一線を画していてとても個性的で面白かった。吸血鬼の世界が男尊女卑に基づいているのも不思議でした。

ダークファンタジーやサスペンスの要素を多く取り入れた作品であり、個性的で面白い作品でした。

鑑賞日:2023年5月3日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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