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キャプテン・フィリップスのchisatoのレビュー・感想・評価

キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)
4.3
京橋フィルムセンターにて。個人的な良い映画の定義として、「鑑賞後もその映画のことしか考えられない、知れば知るほど面白い」というのがあるがまさにこれだった。
敵と味方の間で絆が生まれてしまうパターン、『パーフェクトワールド』が頭に浮かんだ。
リーダーのムセとリッチフィリップス(トムハンクス)の会話「こんなはずじゃなかった。金を取って、国に帰る。ケガ人はなし…」「3万ドル貰って帰れば良かったのに、欲を出したからだ」「ボスが厳しいんだ」「俺らにもボスはいる」「それはアメリカの話だ。アメリカだけだ」ここがもう悲し過ぎる。
あとクライマックスの「君はまだ子供だろう。反抗するのは無理だ。武器を捨てて降伏しろ」って必死に訴えかけるトムハンクスの迫真の演技。

ソマリアに生まれてしまった運命…経済格差が海賊問題を生み出してるんだから、海賊を非難するんでなくて本来更生出来るよう支援しなければダメだよね。ラストシーンのリッチフィリップスが感情を抑えきれなくなっているシーン、素晴らしい。日本人は先進国の中で寄付金がかなり低いらしい、他者に投資することで未来が明るくなるのにな

海賊役はオーディションで選出されたそうだが4人ともリアル。ボス役のバーカッド・アブディはこのデビュー作で助演男優賞をとった。黒人がスーツ姿でキメてアカデミー賞の舞台で恥ずかしそうにスピーチしている姿が胸に響く。実は『ブレラン2049』にも出演している。インタビューから、14の時アメリカにきたらしく、彼ら4人は昔から友達だったらしい。今は映画監督としても活動しているらしい。同じソマリアでもこんなにチャンスを掴んで成功できた人もいる。

2009年に起きた「マースクアラバマ号事件」をとても分かりやすくしかも事実にとても近く作られている。YouTubeで本人の解放されたときの家族の会見インタビュー見たけど思わず目が潤んだ。実話ベースの映画はこう現実とリンクする瞬間が面白い。これはTOP10入りですな。
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