KARIN

小さいおうちのKARINのレビュー・感想・評価

小さいおうち(2013年製作の映画)
3.7
不思議な感触。
映画を観ているはずなのに、なにかざらざらした、古い絵具に触れた時のような触感がある。

久々に邦画の世界に惹きこまれました。

戦前の日本がどこかミニチュアで作り物のように描かれていたのは、それが1人の女性の遠い記憶の物語だから。それなのに一人ひとりの生き様が妙にリアルで、生々しい。昔の話であることを忘れるくらい、登場人物の感情が突き刺さりました。

教科書では感じられないような、あの時代を生きた「私たち」の物語。
それが今の世代に、劇中での妻夫木くんのキャラを通して生き生き蘇ります。

それにしても色気でいっぱいの映画だったなぁ。あえて見せないほうが艶かしいというか、もどかしいというか。こういう雰囲気すごく好きでした。

倍賞千恵子さんの声はやっぱいいな〜、ソフィだ。
吉岡さんの声もずっと大好き。ミステリアスで健気な芸術家がハマり役でした。ただ年齢設定がちょっと謎で、若者ではない気が…?とずっとつっかかってました笑あと10年早かったら完ぺきだったかもしれないですね。

日本らしさと暖かさ、フィルムならではの荒削りな感じと繊細な演技が相まっていて、とても魅力的な作品でした。
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