いってるびうむ

捕えられた伍長のいってるびうむのレビュー・感想・評価

捕えられた伍長(1961年製作の映画)
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ラスト近く、奥から二人が丘の上上がってくるショットで、『大いなる幻影』の国境を見やるシーンが思い出されるが、ここで彼らが見るのはフランス人とロシアで亭主を殺されたドイツ人のカップル。

「土地を取り返すために戦わないのか?」と聞かれた農夫が「小作農だから」と答える。

カメラがドイツ人の未亡人を追ってこのシークエンスが終わるとき、大いなる幻影とは、階級や国境、国籍というゲームの規則そのものなのだと、24年越しにルノワールは言っているのではないか。

@日仏学院
生誕130周年記念特集 ジャン・ルノワールの現在をめぐって