菊次郎

悪の法則の菊次郎のネタバレレビュー・内容・結末

悪の法則(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

好き嫌いが別れる、というか、本作の面白として演出されてる作品の本質を、エンタメのそれと同様だと思うと退屈極まりないと感じると思う。僕は楽し?かった。作品全体としてはテンポが悪く、ぐずぐずっと、のぺっとした調子。正直好みじゃない。でも面白い。

では何が面白いか?僕にはこの映画が終始まとっている謎の緊張感。これが堪らない。後半部分で画は派手になるんだけど、だからというわけでは無い。ストーリーや画で何もしてこない、この緊張感が半端じゃない。

そしてそれによってこの作品の寓話性やメタファーに気付く。と言ってもあからさまな物も多い。ダイアモンドの話しや、キャメロン・ディアスのヒョウ柄のタトゥー、南米の飲み屋のオッサンの話etc...さらにストーリーの全容を追わせないのも、この寓話性の「伝わり」を高める演出であり、緊張と震えがくる。この緊張と震えの根源が終盤にいくに連れて何か理解する。

ストーリーの表面を辿ると、中南米の麻薬カルテルの闇に巻き込まれた人たちの話だ。リアリティの感じれない話だが自ら「リアル」に蓋をしてませんかと、蓋してても容赦無くクセーけどなと、リドリーに言われてる気がする。そういう意味で本当に緊張させられる作品だった。

そして蓋をしても容赦無くクセーもの、そうそれが「悪の法則」なのだ。

動き出したら止まらない、世の不条理さ、表の世界の理屈で動かない裏の世界の存在。まさにカウンセラーが飲み込まれるのが悪の法則。この作品の謎の緊張感の正体はこれだった。

この作品の邦題は素晴らしい。
是非皆さんも、悪の法則を感じ、畏れ、震え、緊張し、飲み込まれると良いと思う。
その時にこの作品の素晴らしさ、本質に触れられるはずだ。
菊次郎

菊次郎