naomi

ヴァン・ゴッホ~最期の70日~のnaomiのレビュー・感想・評価

3.1
最期の地、オーヴェールで死を迎えるまでの時代に焦点を当てている。神経質で気難しいイメージだったゴッホの人間らしい部分が際立っていて違った一面を観ることができる。絵画やゴッホに興味のない人が見たら確実に飽きてしまうと思う。

作品とは関係ないですが、ゴッホといえば、ゴーギャンとの共同生活で起きた「耳切り事件」が有名。
自分の耳を切り落とすなんてまともな人間のすることじゃないし、てっきり気難しいゴッホにゴーギャンがついていけなくなったのだと思っていた。ところが今年、フランス・アルルを訪れる機会があり、別の事実を知ることができた。
アルルで芸術家たちの共同体をつくる夢がゴッホにはあって、パリで一度自分の絵を認めてくれたゴーギャンを呼び寄せる。友のため、家を心地の良いものにしようと、椅子を12脚も買い、布団を用意し、ゴッホは必死になって整備した。しかし、彼の純粋な気持ちや喜びとは裏腹に、ゴーギャンのアルル行きは「ここに来れば、テオ(ゴッホの弟)の仕送りによって生活できる」という打算に満ちた選択だったという。なんだかゴッホがすごくかわいそう…。ゴーギャンも相当な自己中野郎だな。
その後、全く正反対の2人は衝突を繰り返し、遂にあの事件が発生。アルル中がひっくり返したような大騒ぎの中、ゴーギャンはその日のうちにパリに逃げ帰ってしまったという。それ以来、2人は音信不通に。

生きているうちに売れた絵は一枚だけ。今や億単位の値がつくようになった自分の絵をゴッホが知ったらどう感じるのだろう…。
naomi

naomi