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ヴァン・ゴッホ~最期の70日~のakrutmのレビュー・感想・評価

2.8
ゴッホがガシェ医師に頼ってオーヴェル・シュル・オワーズを訪れてから亡くなるまでの2ヶ月間を描いた作品。自身が画家でもあったモーリス・ピアラ監督は、「狂気の天才画家」というフレーズに代表される一般的なゴッホのイメージとは異なる、より人間くさいゴッホ像を描こうとしている。

なので、この映画で特に描かれているのが、およそゴッホ像に似つかわしくない、ガシェ医師の娘マルグリットとの恋愛。実際にゴッホは彼女をモデルとして絵を書いていて、映画の中でも『ピアノを弾くマルグリット・ガシェ』を描いているシーンが出てくる。実際にこれだけ深い仲になったかどうかはわからず、フィクションの部分も少なくないと思うが、馴染みの娼婦との関係とともに、ゴッホの異なる側面を描いている点は評価できる。

しかし、全体的な間延び感は否めず、特に映画の最後のほうに出てくる、長々しい娼館でのダンスシーンなどは、何の意味があるのかと思ってしまう。また、ゴッホの人間くさい部分に注目するあまり、ゴッホの芸術的側面がきちんと描かれていないのも残念である。自分は所詮売れない画家だとひがんで、弟のテオに八つ当たりしているようにしか見えない。モーリス・ピアラとはどうも相性が悪いようである。
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