けーはち

セイフ ヘイヴンのけーはちのレビュー・感想・評価

セイフ ヘイヴン(2013年製作の映画)
4.0
過去から逃れたくて田舎の町に流れ着いた女、そこに住む妻を数年前に亡くした男、ふたりが出会い、新たな幸せに向かうベタなロマンティック映画だが、迫りくる狂気のDV夫というサスペンス・スリラー要素が全体の味を引き締め、最後にひと匙加わる「彼女」の存在によるファンタジー要素がグッと後味を深めている。考えてみりゃノースカロライナの田舎町で20~30代の女が森の奥で1人暮らしたら怪しまれて魔女扱いされるわ(昨日観た「ザリガニの鳴くところ」がそう)。そんな僻地に若い女性がそうそう1人で居るわけがないので何らかの仕掛けが……と思ったら案の定で、見事な回収。バランスの良い快作。

それにしても、2013年の映画にもかかわらず本作では携帯電話は出ないので、今の人間にして見ればそこが一番ファンタジーかなと思う。古典的すれ違いロマンスや片思い追跡系の話は、「携帯電話普及以前の世界」に設定しておかないと、やはり面倒くさいんだなぁ、と思うことしきり。