七沖

るろうに剣心 京都大火編の七沖のレビュー・感想・評価

るろうに剣心 京都大火編(2014年製作の映画)
3.9
敵役の志々雄真実の怪演が見事な作品だった。

本作は続編ありきな作りのため、ストーリーは中途半端になってしまっている。
人斬り抜刀斎の後継者である志々雄真実が明治政府の転覆を狙って内乱を起こそうとし、かつて人斬り抜刀斎だった剣心がそれを阻止しようと京都に赴く話。

このシリーズ一番の特徴といえる剣戟アクションはさらに磨きがかかっていた。剣心より強い敵・宗次郎の登場は続編に相応しい盛り上がりを見せてくれる。

本作最大の敵役・志々雄真実は、マンガだからこそのビジュアルインパクトを持つ包帯グルグル巻きのキャラクターだけに、実写化はかなりのハードルだったと思う。だが、藤原竜也演じる志々雄真実はそんなハードルを軽々と飛び越えていった。まさに怪演という言葉がしっくりくる演技で、本作の見どころの大半は志々雄真実が持って行っている気がする。前作の武田観柳とはベクトルの違う、完全最強な鬼気迫る悪役ぶりだ。

本作で増えたキャラクターは志々雄以外にも多いが、伊勢谷友介演じる四乃森蒼紫は、ちょっと残念だった。というのも、剣心に対する執着心に共感できなかったからだ。前作で剣心に倒された外印が蒼紫だったら、異様な復讐心にも納得できたのだが…。

土屋太鳳演じる巻町操は最初は微妙だと思っていたが、後半のアクションシーンでキャスティングに納得した。キレのあるアクションは普通に良かった。

ラストで登場する意外な人物といい、とにかく次回作ありきな作品だが、アクションは前作の正統進化版だと思う。次回作への繋ぎという意味ではとても見応えのある作品だった。
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