kawazilikousaku

ペインレスのkawazilikousakuのレビュー・感想・評価

ペインレス(2012年製作の映画)
3.5
「カインはなぜアベルを殺したか知っているか?
人類最初の殺人は嫉妬が原因だった。実にスペイン的だ」

この会話のシーンで、
この映画は人間同士の殺し合いと、嘘をテーマにつくられた作品なんだと思いました。

カインは弟を殺害したあとで、ヤハウェにアベルの行方を尋ねられ、知らないと答えます。人類が最初についた「嘘」です。

内戦はスペインに忘れることでしか癒せない大きな傷を残し、たったひとつの嘘は主人公やその家族の運命を大きく変えていく。

本当に思想というのは人間を狂気に変えてしまうんだとつくづく思い知らされました。

恐怖の尋問シーンは「ねじまき鳥クロニクル」の皮剥ぎボリスを彷彿とさせ痛みの本質を上手く表現していました。こういった描写がホラーなんでしょうかね?色々と知的好奇心を刺激された面白い映画でした。
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