ゆう

渇き。のゆうのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
3.5
「はい、自殺ぅ♪」
※結論→妻夫木が一番怖い。

『嫌われ松子の一生』で私の心臓を鷲掴み、『告白』で骨まで抜いていった中島監督の最新作…!

怒涛の映像ラッシュと、脳汁はみ出す音楽と、暴力に次ぐ暴力(タランティーノに影響されてる?)、非情を非情で洗うような絡まりきった憎悪。
観てると頭がジーンと痛くなるんだけどこれがだんだん心地良くなってまさに劇薬、脳内麻薬。
主人公のクズさが突き抜けてて後半はむしろ清々しい。(マクレーンさんみたいな不死身さがリアリティなくて笑っちゃう)
この映画を褒めたらそれだけで人間性を疑われそうなほどのタブー感。だがそれがいい!

惜しいのはカナコの描き方。
もう少し裏側を、思春期特有の儚さを、観たかった…。そしたらもっと深みが出た気がした。
そのせいもあるのか、後に記憶に残るのは映像やキャラの個性ばかり。物語はあんまり頭に入って来なかったなぁと冷静に思い返すと気付いてしまう。

映画だけ観て読み取れたのは、血縁という切っても切れない呪いのような関係性で一般的な親子愛を皮肉りつつ、クズが子どもを愛すという行為によって人間性を取り戻そうという最期の自分探しの旅の話でもあり、罰を受けながらも赦しを得ようとする愛の物語なのかな、ということ。

これは多分原作を読んでから観た方が楽しみ方が広がる作品!
ゆう

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