つじくん

渇き。のつじくんのレビュー・感想・評価

渇き。(2013年製作の映画)
4.5
十代の人生が憧れによって壊れていく様は狂気も儚さも孕んでいる。
狂気とクズをワンダーランドのようなポップさで描いているエンターテイメント作品。
役所広司も小松菜奈も妻夫木聡もクズでクソだ。どこにもまともな人間なんていない。ブレーキの欠片もなく本能を全開で踏み込んでいく。
[バトル・ロワイアル]の相馬光子もそうだが、妖艶な加奈子は周りをどんどん取り込み成長していく。フラフラと飛んで来た虫を喰らう食虫植物や、寝床を築いて繁殖する菌のように無尽蔵に大きくなっていく。しかし、加奈子も人間だ。いくら怪物や理解出来ない化け物のように見えても人間なのだ。失った限りない自由や、代わりに永遠に傍らに居てくれる人を見つける作業だったのかもしれない。寂しかったのかもしれない。
渇きは満たされる事は永遠に無い。
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