YU@K

ウルフ・オブ・ウォールストリートのYU@Kのレビュー・感想・評価

4.5
3時間という上映時間の中で、500回以上発せられる「FUCK」という単語。狂いに狂ったクソ野郎のクソみたいな、でも誰よりもギラギラと輝いた人生。濃密な会話劇と、どぎつい映像のジェットコースターに、終始翻弄される作品。
株屋として誰よりも金と女と酒とドラックを愛し、のし上がっていく男の人生とその顛末までを描く。3時間という長尺が嘘のようなテンポの良さと会話のやり取り、ドル札とヌードと白い粉が舞う乱痴気でトチ狂った映像がとにかく津波のように押し寄せる。本当にあっという間の3時間である。
手早く確実に儲ける為には、無知な一般人を騙し金を吸い上げる事。その真理を裏打ちするジョーンズ(演:ディカプリオ)のずる賢さと超絶話法テクニック。立ち上げた会社がみるみる成長していく様は観ていて心地が良い。劇中の誰もが前と金だけを見て振り返らない。
どういった悪どいテクニックでジョーンズが成功していくのか、その説明をじっくり丁寧に描いてくれるので、劇中で急に羽振りがよくなっても観客の頭にに疑問符は浮かばない。丁寧さに好感。ジョーンズの狂いっぷりも、ここまでやられると観ていて気持ちが良い。一種の爽快感すらある。
度重なる成功と悪事と裏工作と増長の果てに、金と女と酒とドラックのループに陥るジョーンズ。天才暴走系映画には必ず訪れる暗雲が、この作品にもやってくる。そこまで脅威の早テンポで展開していたシーンの数々から一転、ジョーンズが文字通り「転げ落ちる」シーンが嫌に間延びしてたっぷり描かれる。「ついにここまでか? もう手が後ろに回るか?」観客も思わず目を逸らしたくなる。
ディカプリオは文字通り体当たりでジョーンズを熱演。新入社員の頃の初々しい表情から、演説時のドヤ顔をはじめ、ドラックでラリってよだれを垂らして白目を剥き、情けない声を上げながらセックスでオーガニズムに達し、狂気の表情でDVを犯し、華やかな舞台と落ちぶれたクズと、本当に色んな表情を見せてくれる。しかし、どんなにぶっ飛んででも憎らしいくらいにかっこいいのは流石の一言。彼がこの作品の後しばらく俳優業を休業するのも納得出来る程に、素晴らしい乱痴気演技だった。
音楽も作品の早テンポを活かす役割として大いに仕事をしている。挿入歌が多いのも特徴か。
ディカプリオ以外の出演者も(良い意味で)曲者ばかり。思わず飛びつきたくなる美女から、どうしようもないクズまで勢ぞろいである。
作中テンションを例えるなら、「おい!お前も飲み会来たのか!こっち座れよ!とりあえず生!はい飲んで飲んで!ピッチャー!ピッチャー持ってきて!ピッチャーかショットグラスかどちらか選べ!はい飲んで!そこの女の子、君もこっちおいで!はい飲んで!飲むぞー!今夜は朝までフォーーーーーー!!(翌朝)うっわ~ゲロったわ~、二日酔いだ~、味噌汁ちょっと飲もう。あったかいな、でもやっぱ頭いてーよ」系映画。
観ていない人は今すぐスクリーンへ。ディカプリオと一緒に、朝まで乱痴気パーティしましょう。
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