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ウルフ・オブ・ウォールストリートのnoaのレビュー・感想・評価

3.0
3時間もの長編をそこまで長く感じさせないところはさすがマーティン・スコセッシ。でもこの映画で彼は一体何を伝えたかったんだろう?

社会風刺というよりも、他人を蹴落としてでも貪欲に生きる者の讃美歌だなと感じ始めた時に正直いって嫌気がさしてしまった。

ところであそこまで酒とドラッグを乱用しちゃっていつ誰がばたっと息絶えてもおかしくないなと思いながら観てたけれど、結局ラストまでオーバードースによる死者も出ず、人間って思った以上に強靭なんだなとストーリーとは関係ないところで妙に感心してしまった。

一番印象的だったのは、自分にとっては『フライデー・ナイト・ライツ』(TV版)のコーチ役でお馴染みのカイル・チャンドラーが演じるFBI捜査官が、帰宅途中の地下鉄の中で一人静かにジョーダン逮捕の記事を読んでいるシーン。彼ってこういう頑固だけれど誠実に地に足付けてしっかりと生きている姿が本当にぴったりとくるのよね。彼の静かな勝利、でも人生の勝利者という意味ではどうなんだろう...、と、そんなことが彼の頭をよぎっているのかなと思わせる、なんともいえない余韻の残るシーンでした。
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