天才詐欺師のアーヴィンと、ビジネス・パートナーで愛人のシドニーが逮捕され、FBI捜査官のリッチーは司法取引をもちかけ、自由の身と引き換えにおとり捜査の協力を強いる。偽のアラブの大富豪を使い、アトランティックシティのカジノの利権に群がる汚職政治家をハメ逮捕するという物語。
1979年にアメリカで実際に起きたアブスキャム事件が元となっているお話。FBIニューヨーク支局がアラブの大富豪がカジノに投資したがっているという架空の投資話をでっちあげ、詐欺師を使い19人の政治家を贈賄罪で辞職に追い込んだという政治スキャンダル。
冒頭から太りきったブヨブヨお腹を突き出し、鏡に向かって一九分けを丁寧にセットするアーヴィンの、みすぼらしい胡散臭い詐欺師感満載の見た目から引き込まれていく。
FBI捜査官が詐欺師をおとり捜査に使い政治家の汚職を暴こうとしていく話を中心に、醜い騙し合いの応酬が描かれる。
詐欺師、FBI、政治家、マフィアまでが絡み、誰が誰を騙すのかが見もの。マフィア役を演じたロバート・デ・ニーロが登場してから緊迫した雰囲気が高まり、面白くなっていく。だが、基本的にはアーヴィン、リッチー、シドニー、カーマインの4人がわちゃわちゃやっているのでイマイチ盛り上がりにかける。
豪華キャストの演技は良いが、ストーリー的には微妙かもしれない。でも、ラストはスカッとする展開だから嫌いじゃない。
ムキムキのバットマンを演じてたクリスチャン・ベールが、20kgもの増量をしてハゲ散らかしたブヨブヨの中年おやじを演じているのが凄い。
『007/死ぬのは奴らだ』のポール・マッカートニーが歌う『Live And Let Die』が流れるのが最高。
実話に基づいたお話というのが驚きだし、小説より奇なりと言うのはまさにこの物語の事かもしれない。
1970年代のヘアスタイルや煌びやかな服装など、雰囲気は非常に良くずっと見ていられる。エイミー・アダムスとジェニファー・ローレンスの胸元が開きすぎているセクシーな服装に魅力される。
アーヴィンがハゲなのに美人にモテる理由は、自信家で人柄も良く話も上手いからなのだろうな。流石の詐欺師でも善良な人を騙すのには心が痛むのか。