いとっと

いとしきエブリデイのいとっとのレビュー・感想・評価

いとしきエブリデイ(2012年製作の映画)
4.5
当たり前のことなんですが、日常というのは過ごした日々の積み重ねによって作り上げられていくものです。だからすべての人が共有できる日常というのは存在しないし、つまりある人にとっては日常のことであっても、別な人にとっては日常ではないというのは往々にしてあります。「過ごしてきた日々」という文脈の中で初めてその人にとっての日常は姿をあらわします。

本作はそんな「ある人たちにとっての日常」を描いた傑作でして褒めたいところがたくさんあるのですが、とくに好きなのは日常と非日常の緩やかな変化を丁寧に描いているところです。
服役中の父に会いに行くという非日常が日常に変わり、父の不在さえも日常に変わる。そして今度は父のいる日常へと戻ろうとするその変化を子どもたちの感情の機微や態度の変化で表現しているところはすごいなと。
あと、冒頭からしばらくはドキュメンタリーかと思うくらい子どもたちの演技がとても達者だったことにも強烈なインパクトを受けました。
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