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her/世界でひとつの彼女のnaomiのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.3
”人工知能との恋”という、一歩間違えばトンデモ映画にだってなってしまうような斬新な設定なのに、実はとてもピュアで、本質的な恋の物語。個人的2014年ベスト3には入る作品。ホアキン・フェニックスの怪演のおかげで、人工知能(AI)に恋するバツイチ男という際どい主人公をスッと受け入れられるし、そしていつしか感情移入してしまう存在になるのはやはり素晴らしい役者なんだと再認識。やっぱりちょっと狂ったような役が巧い。そして、AIのサマンサが新しい世界を知っていく感動も鮮やかに描かれ、声だけで演じたスカーレット・ヨハンソンは、力技ながらも素晴らしい演技だった。ホイテ・ヴァン・ホイテマ(撮影監督)らしい繊細で少しざらついた映像と、『かいじゅうたちのいるところ』に引き続いてのカレン・Oのヒリヒリした音楽も完璧。Moon Songは映画史に語り継がれるべき名曲です!この作品は、あくまで"恋"止まりなところがいい。刹那的で、終わりがある。そしてその終わりは当事者にとっては人生の終わりみたいに感じられちゃうくらい妄信的に恋をしていて、そういうところがいい。学生時代に青春してこなかったわたしみたいな人間はこういう映画で恋を学んで、人生をこじらせていくのです。
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