キヘンニカミ

her/世界でひとつの彼女のキヘンニカミのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
AIのOS と恋するラブストーリーかと思ったら、もっと大きく恋愛についての映画だった。そしてひとつひとつのセリフが詩的でありロマンチック。それに沿うかのような色彩とミュージック。凄く良かった。

劇中はほとんどOSと主人公の恋愛が続く。ただあくまでもこの映画は、元妻との絶対的な愛を失った主人公の葛藤や心模様を綴った物語だと思う。



人は大抵恋をする。
恋が実れば、ふたりは色々な事を分かち合うだろう。やがて恋は愛へと変わり、互いが大切な人となる。

愛は恋とは違い様々なものが詰まる箱だ。
ふたりの分かち合う時間が愛を募り、募れば募るほど箱から溢れそうになる。
溢れた愛はどこへ?
大切な人が一滴残さず汲んでくれるだろうか。ひとつひとつが大切であり勿体ない。
やがて箱は段々と大きくなり、絶対的なものだと錯覚してしまうだろう。

だが絶対的な愛など無い。
一瞬にして空になったら?
既に大きくなってしまった箱を、違う愛で埋めようたってそう上手くはいかない。大き過ぎる。

大切だった人は心の中の空の箱。とても大きな空洞。
空の箱には感謝で埋めるしかない。


人と愛する事の難しさ。
誰かを愛する決意は必要か。

私は必要だと思った。