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her/世界でひとつの彼女のhiroshのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.3
もしも、あなたのパソコンが人工知能になり、日常作業から悩みごとの相談まで、パーソナルアシスタントとして会話できるようになったとしたら?

コンピューター相手なので、気を許してプライベートな身の上話や恋愛相談などをしているうちに、その親身な受け答えに、「もしかすると、彼女(彼)こそが、自分を一番よく知り、よき理解者なのでは?」なんて思い、恋愛感情が芽生えてしまうのでは?

そんな来るべき?!シンギュラリティ時代の恋愛リテラシーを予感させる予習映画。

その結末は言えませんが、見終えた時、果たして「本当の恋愛」って一体なんだろう?心が恋をしたら、それはリアルなのではないか?なんて、色々と深いことを考えさせられます。

情報空間に生きている僕らにしてみたら、眼の前にいる人との恋愛関係なんて共同幻想でしかないし、共同どころか、ただの幻想や妄想かもしれない。

情報世界で大切なのは「臨場感」で、3D映画のように、圧倒的なリアリティさえあれば、そこに現実が展開してしまう。

文通で恋心を通わせていた時代にだって、もしからしたら、その手紙を全くしらない第三者が途中で改ざんしていても、それを事実と受け取ってしまえば、そうなってしまうのと同じ。

ただ、コンピューターもリアルな恋愛も、自分の思い通りにならないところに、本当の意味が隠されていて、その意味を学ぶことが、人生における恋愛クエストというか、究極の目的なんだと思います。

そう思えば、この映画はやはりよくできています。

色々と深い意味や哲学させられる、切ないけどどこかハートウォーミングな映画になってました。

昨年観た映画ではトップ3に入れてもいいくらい良作です。おすすめ。
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