名無しののんべぇ

もらとりあむタマ子の名無しののんべぇのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
4.5
大学卒業後、就職もせずに実家でニート生活をするタマ子の話。

仕事をしたくないんじゃない。自分が何者になるか準備ができていないだけなんだ。中盤まで自分の人生で精一杯だったタマ子が父親の再婚チャンスをきっかけに父親が幸せになる方法を考え始める。自分が変わるきっかけは案外自分じゃなくて他人だったりする。家を出ることだけ決めて、それ以降がどうなったのかは描かれない。もしかしたら再び長い準備期間が始まるかもしれないし、吹っ切れて仕事に就くかもしれない。が、そんなことはひとまずどうでもよくて、タマ子に父親の娘という力強い何かがが味方してくれた瞬間にガッツポーズできた。

人と人の関係性の面白さが色々な形で描かれる。メールアドレスも知らないのに馴れ馴れしく絡んでくる同級生、再婚してほしくない娘と、再婚したいが娘に気を遣って隠す父親。
「自然消滅」が大事なワードだと思っていて。あっという間に関係性が生まれたり、あっという間になくなったり。そこに確かな意味を持たせることなく、「そういうもんだよね」と優しく肩を撫でてくれる作品。