導入で子供と大人の境界線の話をしていたが、35人全員に密着するという性質上、そこまで踏み込めていないように感じた。
35人の個性を限られた時間で引き出し、心地よいテンポで魅せていたのは流石。
視点の動かし方がダイナミックで臨場感もあり、劇場版でやる意味を十分に感じることができた。
日向と研磨の「もう一回がない試合」への熱い姿勢を誠実に描き切っていたが、まるで日向と研磨のための試合であるかの>>続きを読む
懐かしすぎて泣きそうになった。
一途に境界線のない和を訴え続けていてこんなしっかりしたテーマだったんだと。尺の都合もあってか感情の遷移が駆け足だったけどよくまとまってる。
不和とそれによって世界に漂う>>続きを読む
移りゆく存在と留まる存在を強く感じた。
この作品ではプラネタリウムも移動する。そのプラネタリウムで見る星も当然移動する。一方で北極星のようにほとんど移動しない星もあって。もっと言えば地球が回っている>>続きを読む
海を越えている描写が最もダイレクトに伝わる船を移動手段に採用していたり、冒頭の広角レンズ越しに見える非現実感だったり、やりたいことに対する表現手段がクリティカルな作品だったなぁと思う。
発達の割と初期>>続きを読む
ラスト40分は画力もあり、諸々が回収されていく快感もあり楽しくなっていった。
それまでの1時間が準備のためだけの時間としか感じられなくて、申し訳ないけど退屈だった。
ある種自己満足的な動機から発した誠実な想いが結果的に他人の心に触れる。ハダシもそこに美しさを感じたのだと思うし、そういう意味で、部室で恋愛映画観て号泣してるシーンはなかなか良かった。
それまでは"監督>>続きを読む
本来小さな古書店で循環し完結させていいはずの人間同士のコミュニケーションが外へ出た途端異物に見えてしまう怖さ、なるほどなーと。常連の老人が放った「お邪魔ですか?」、柔らかい表情口調とは裏腹に鋭い意味を>>続きを読む
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シンプルだが適材適所。無駄のない傑作。
泣く演技ができない状態から、泣かない演技をしたシーン。あのワンシーンで"一流の女優"になったことを端的かつ的確に表現していて感心した。
心情表現の使い分け方>>続きを読む
漫画やアニメではそれぞれの目的のベクトルが異なりつつもどこかで重なる瞬間に面白さを感じていたが、劇場版ではその部分を感じられなかった。特にヨルさんの目的の所在がふわふわしていた(浮気疑惑はあったけど途>>続きを読む
映画にとどまらず全てのエンタメの希望みたいな作品だった。アイデアで勝ち取った傑作。また観たい。
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「どうしたら良いかじゃなくてどうしたいか」。「被災者を助けたい」という思いから結果的に命を落とした夫のことを責められない母親の優しい価値観が現れているセリフだった。
光る校庭のシーンはもちろん良かっ>>続きを読む
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聡実がいきなりヤクザにカラオケに誘われて、すんなりついて行ったところに一瞬疑問を感じたが、ストーリーが進むにつれて納得した。聡実は身体的変化とコンクールで目標に届かなかったことで、どこか諦念のようなも>>続きを読む
読む本も木、撮る写真も木、度々映るスカイツリー。木が好きなことは分かるがどの部分に惹かれているのかはっきりとは分からないでいた。しかし、影踏みのシーンと木漏れ日に対する役所広司の穏やかな表情を見た時に>>続きを読む
なぜ能力を持っているのか、なぜファズは会ったばかりのモナリザに協力したのか、ボニーとチャーリーの間にどんなプロセスを経て愛情が芽生えたのかなど、事象と事象の間の繋ぎの部分が描かれない。スピード感を優先>>続きを読む
ゲゲゲの鬼太郎はそこまで詳しくないが、超傑作だった。
辺境ミステリーとして緻密な脚本と、田舎的禍々しさを感じさせる数々の演出。沙代とのやりとりで見られる微妙な違和感とか、血桜的な暗喩表現とか。
権威主>>続きを読む
あんな見た目なのに一瞬で悪者ではないと感じさせてきた。メイクがすごいのか、演技がすごいのか。
氷の彫刻のシーンが最高だった。彫刻作品それ自体というよりエドワードがその手で作り出す過程の美しさを舞い落ち>>続きを読む
心理描写も緻密で、シナリオも丁寧。
が、冒頭の仕掛け方が小賢しくて少し心が離れてしまった。あのシーンの影響で無意識的に人間関係の崩壊、捻れにばかり注視してしまったのかもしれない。
ターの音楽観、芸術観>>続きを読む
どこに視点を定めればいいのか最後まで分からずそのまま終わってしまった。
分かりやすくカウンターの連続で確実に新しいものを観ている感覚はあったが、鑑賞後感としてはすっきりとせず(ラストの裏切りは今年観た>>続きを読む
原作が本当に素晴らしかったので、その衝撃を超えることはなかったが、確かな良作であった。
水に関する動的な演出も印象的だったが、八重子と大也のかけ合い、そして啓喜と夏月のかけ合いが心に残った。自己と他>>続きを読む
前編がなんとか負けないための闘いを描いているとしたら、後編は勝ちに行く闘いで、前編のフラストレーションを全解放してくれるような仕上がりだった。
ただ想像していたよりあっさり終幕したので、消化不良感も。
後編のための序章ではあったが、シナリオに波があって楽しく観れた。
戦況的には勝っているのに情けなく見える戦いぶりや、逆にプロ相手にボコボコにやられているのに輝いて見える戦いぶりが見事に演出されていた。>>続きを読む
アリスとテレスではアナザーワールドが持つ意味、アナザーワールドが存在することによって生まれる現実世界の意味みたいなものを描いてくれていたので気持ちを乗せて観ることができたが、今回はそこが読み取れなかっ>>続きを読む
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強烈なインパクト。
終盤の磯村勇斗と宮沢りえの掛け合いは圧巻だった。他人を媒介した自分自身への訴え。洋子はさとくんの中に自分自身を見つけてしまい吐き気がするような気持ち悪さに襲われる。ここでさとくんを>>続きを読む
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序盤中盤で戦争への絶望感、生存意義への懐疑を積み上げていた。そして終盤で大切な人を亡くしたとしても強く生きねばならない、生きるための方法を探さなければならない、というテーマを段階を踏んで伝えようとして>>続きを読む
目の前で起こっていることが全てであり、その目の前で起こっていることを身をもって確認する物語。
この目で見ているもの、心で感じていることを信じていたいという立場を先導していたのが花子と正夫な気がしてい>>続きを読む
相変わらず画面が美しい。実生活では味わうことが難しいであろう神秘性のようなものを画面から感じることができるのが藤井道人監督の好きなところ。今回もその部分は健在で、これだけで観る価値があったと思う。>>続きを読む
モノローグが多用されていたので、たびたび入るミュージカル要らなくね?と思ってしまった(人物の感情表現をさせる目的だけだとしたら)。そうでなくても会話とカットのテンポ速くてリズミカルに展開していたのにミ>>続きを読む
可愛い女の子が気怠そうに仕事片してく様が爽快。
片方がスマホ片手に道に迷ってて、もう片方は調べる努力もせず、ただ片方についていくみたいな描写で2人の性格と信頼関係の厚さを同時に表現するの、非常にスマー>>続きを読む
監督の作風が分かってくるとどんな仕掛けでどんな盛り上げ方をしたいかある程度予想がついてしまう部分が残念だったが、分かっていても興奮するくらいには緻密な計算と投資(予算も時間も)の量が桁違いで観ておいて>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
想像以上にクオリティー高い!
一つ一つの要素はそこまで新しさはないかもしれないが、何か新しいものを見た感があった。
脚本は無駄がなくシンプル。冒頭では世界の起源について説明し、中盤で葛藤と夢を語らせ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
他作品で扱われる「まぼろし」と「現実」の持つ意味と本作の「まぼろし」、「現実」が持つ意味がむしろ真逆で、現実には夢や希望があるんだから、このまぼろし世界から抜け出そうというある種捩れた世界の設定に釘付>>続きを読む
テーマと技術が完璧に噛み合った職人映画。
カメラは体の一部にフォーカスしたカットが多く、表情を直接撮る以上に意味を与えてくれた。冒頭の陽子の重い足取りや温もりを感じる握手のワンカット。
全体的に暗い>>続きを読む
自然な姿を黙々と撮り続けると言うよりは、カメラの向こうで起こっている現実と被写体の生の声を強く訴えかけてくるタイプのドキュメンタリーだった。
本軸とは関係ないかもしれないが、警察との騒動を捉えた証拠>>続きを読む