にいにい

もらとりあむタマ子のにいにいのレビュー・感想・評価

もらとりあむタマ子(2013年製作の映画)
4.0
想像以上に緩くて浸かると抜け出せなさそうになるような心地よいぬるま湯映画だった。大学を卒業すると同時に就職もせず実家に戻ってきたタマ子。このタマ子の1年を春夏秋冬に分け80分という短さで描ききった。

タマ子を演じるのは前田敦子。正直AKBの事も全く知らないし前田敦子という人物についても微塵も興味が無かったがこの映画に関してはとても良かったと思う。気怠く不機嫌な顔をしながらとにかく動きが鈍い。演技なのか元々こういう感じなのか分からないけど、映画として観てる分には不快さは全く感じなかった(家族やら周りにこいつがいたら絶対嫌になるだろうけど)

登場人物はこの主人公タマ子に加え威厳が全くない人の良さそうな父親と写真屋の中学生、父の再婚相手に浮上するアクセサリー教室の先生くらい。この脇を固める人物も魅力的だった。特に中学生の彼。妙に達観していて味のある顔をしながら繰り出す台詞に何度も笑わされた。特に"夏"は良かった。

台詞が多い訳でもないしそこに描かれているのは何でもないぐうたらの日常。それでもちょっとした部分にタマ子の"変化"を感じられたのが良かった。と言ってもほんの数ミリくらいしか変わってないのだけれども。個人的にはいつまでも浸かっていたいと思わせる心地よい映画だったが自分もああなっていた可能性があると思うと笑いも引き攣った。ぬるま湯に浸かるのはこの映画だけにしよう。
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