数日前に観た『ヴィダル・サスーン』と打って変わって「カール・ラガーフェルド」は性格が悪い人間である、と決めてかかって観た
というのも「アデルは痩せろ」発言やPETAからのバッシング(動物保護団体によるファー反対キャンペーン)など、とにかくファッション以外のゴシップで目立つ人だからである
結果、意外とそこまでイヤな人とは思わなかった
(というかインタビュアーがぶっ込み過ぎるせいか、どうしても相対的にまともに見える)
まず出だしから、自宅の撮影を許すような人と思わなかったので驚いた
散らかってるのに何故か汚くない仕事部屋とか、机の上には「クロムハーツ」のリングの山と何台ものiPod(初期の色が無いヤツなど)やらプライベートも美学がある
常にサングラスの印象があるけれど、実際ちょっとグラスを外した瞬間を撮影すると「写すなや〜」とかキレていた
ショーのシーンに関しては、もうどのデザイナーも演出では神経質になるのだな〜と思ったのでブチ切れてても驚かなかった
カールは過去を振り返ることが本気でイヤな人らしく、そのせいか子供時代とシャネル移籍直後くらいしか昔話がない
カールによるシャネルの過去のコレクションとか詳細なバイオグラフィーを観たい人には不満だと思う
本当に進歩的なおじいちゃんで、確かインスタのアカウントも持っていたはず
インタビューでは「私は他人との信頼関係に関しては厚い人間だが、場合によっては30年来の仕事仲間でもバッサリ切る」とか怖いことを言っていた
「いつ自分のセクシャリティに気づきましたか?」「恋人と同棲したことは?」「セックスにはうんざりですか?」などとインタビュアーが攻めすぎだったし、カール自身「年寄りを困らせるような質問はやめろ」と言っていて、何かフリーダム感が凄かった(一応、聞かれたことには答えていた)
当サイトの他の方々は「孤独とは勝ち取るものだ」を一番印象深い言葉と感じたとのレビューが多い
しかし自分はインタビュアーからの「いつも同じ質問をされてうんざりしていませんか?」の問いに「質問の最終的な答えなど永遠に出ないので構わない」みたいな返しをしたのが取り立てて良かった
アルマーニの思想の方が共感できたけれど、意外とカールも「なるほど!」と考えさせられることも言っていた
一方で、いきなり「ポルノは絶対に必要」とか「同性婚など無意味だ」とか凄い持論を展開していて、(アナタこの企画にその話は必要ですか...?)と思った
こういう主張をカールさんはショーのステージでもやってた
仲良しのモデル「カーラ・デルヴィーニュ」さんもノリノリだったやつ
服飾デザイナーのドキュメンタリーでは珍しく、衣装デザインのスケッチをしている風景が観れて良かった
こういう風にシャネルは作られるのか〜と...
お気に入りの画材は「修正液」とか
「人間はみな、自分が無能であることを自覚すべきだ。まぁ俺は自信家だからそんなの無理だけどね(笑)」などと矛盾発言が多くカオスな人である
ハイブランドのファッションデザイナーにも関わらず下ネタを連発したりして、(この人なりの人間味はあるな〜)とぼんやり思った
色々笑いどころとかあるので、ファッションの関心への有無に関わらず色々な人に見て欲しい
余談だけど、これレンタルできるTSUTAYAが大阪市内に全然無くって、何故か在庫のあった「野田阪神店」まではるばる行ってきた
(逆方向の「鶴見緑地店」も確かあるはず)
このお店は有名人のドキュメンタリーが妙に豊富で、「スティーブ・ジョブズ」の伝記映画に関しては4、5本も種類があって、商品の入荷は店側の趣味が反映されてるんだ〜と何か感心した
amazonで買うのは恐ろしい価格だし、内容も良かったので、わざわざ借りに行った甲斐があった