Daiki

インターステラーのDaikiのネタバレレビュー・内容・結末

インターステラー(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の「人類が危機に瀕している時に、宇宙からの信号が元パイロットの家に現れ、NASAへと導く」という設定を観たときは駄作の予感を否定できなかった。なぜなら、超越的存在が存在するならば、なぜ数ある種の中で人間を選び救うのか、なぜ数いる人間の中で彼/彼女が選ばれるのか、等、超越的存在の物語のスケールに対して小さすぎる属人性が拭えないからである。「2001年宇宙の旅」との違いはここだろう。ボーマン船長は偶然どの種の誰よりも早く土星に到達した存在であり超越的存在はその経過観察者とでも言うべきものだからである。例えるならマシンラーニングで試行と学習を繰り返し遂にステージクリアを達成した何百世代目かのスーパーマリオとそのプログラマーといったところで、達成マリオの主観では奇跡のような出来事もプログラマとしては当然の客観的事実として映るのである。
しかし、最後の展開で見事に予感を払拭してくれた。本作「インターステラー」のすごいところは、いかにも映画的な事象についての決定論的説明を行っているところだろう。
超越的存在は未来の人類である、ということですべてつじつまが合う。
つまり、5次元世界の人間が過去の4次元世界の人間の次元を引き上げて、引き上げられた5次元世界の人間が過去の4次元世界の人間の次元を引き上げるという円環を成している一種の決定論である。この円環で過去に送られているのは重力波に乗った情報だけであり、親殺しのパラドックスは起こらないし、パラレルワールド的説明も必要はない。
この世界には人類以外の存在はいない。冒頭で超越的存在に感じられた属人性も納得の設定だ。本作は「未知との遭遇」的刺激に疲弊した私の心をSFのハードコアへと引き戻してくれた大変有難い作品である。
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