歪み真珠

サタンタンゴの歪み真珠のレビュー・感想・評価

サタンタンゴ(1994年製作の映画)
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死よりも永い7時間だった。死後の時間の流れはきっとこんな感じなんだろう。救いのない魂があてもなくさまよい続けていたように見える。
私はずっとずっと死がこわい。永遠がこわい。永遠と眠り続ける未来を想像するといてもたっても堪らなくなって胸をかきむしりたくなる。池田晶子さんと陸田真志さんの往復書簡「死と生きる」を読んだってぜんぜんわからなかった。真実在と言われても肉体の死は肉体の死だもの。いつかわかるといいな。じゃなきゃずっとこわいままだもの。

死後の世界はずっと雨が降っていて、人は永遠に踊り、酒をのみ、歩き続けていた。言い様のない暴力的な気持ちになって何もかもにイラついた。あのうるせぇ酔っぱらいを追い出せよ、なんて。ドキュメンタリーなんかで見た不条理な現実に悲しくなったり怒ったりなんか何度もしたけれど、こんなにも理不尽な、理由の不明瞭な暴力的な感情は始めてで自分に戸惑う。
空間を碁盤の目のように区画整理して、どうしたら一番目が飽きないかを考えて人を配置したような画面がとても面白かった。カメラが動く度に新たな人物が画面の端から生まれる。

フィルマークスの感想を眺めてみてもあの閉じられた円環についての答えは一つも見つけられなくて 俺たちは雰囲気で映画を見ている。偉そうにあーだこーだ書いたってたぶん何にもわかってない(少なくとも私は)俺たちは雰囲気で映画を見ている。

⚠️ねこちゃん好きはみてはいけません。ねっこが折檻されます。