サラ・ポーリーというカナダ出身の女優兼監督の映画です。
これまでに「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」「テイク・ディス・ワルツ」、2本の映画を撮っています。2作とも夫婦の関係を見つめた映画です。この2作を観なければ、「物語る私たち」はきっと見過ごしていたでしょう。
この映画は、監督自身の出生の秘密を探るドキュメンタリー映画です。ほとんどが家族や友人・知人へのインタビューと古い映像で構成されています。
5人の兄弟の末っ子として生まれたサラ・ポーリーは、小さいころからとてもかわいらしく「あなただけがパパと似ていない」と、兄弟からからかわれていました。監督が10歳のときに亡くなった母親の当時の交友関係をたどりながら、自分の出生にどんな秘密が隠されているのかを探っていく物語は、とてもスリリングです。
ドキュメンタリーという形式をとりながら、ナレーターとして父親を起用することで、にわかに劇映画のような物語の膨らみが生まれます。そして、親子、夫婦の隠された真実が浮かび上がってきます。
「物語る私たち」(原題 STORIES WE TELL)というタイトルが全てを語っています。映像で物語ることによって、初めて家族のつながりや人生の意味が見えてきます。
大好きな監督の大好きなドキュメンタリーです。