SatoshiFujiwara

物語る私たちのSatoshiFujiwaraのレビュー・感想・評価

物語る私たち(2012年製作の映画)
4.0
2015.05.04 DVD

語りの複数化による「真実」に対する批評的な距離感、相対化。当事者のマイケルを語り手にも設定、または神の視点(監督)であるサラ・ポーリーを外部の存在として意識させるメタ演出。安易な感情移入を許さない意地悪さとユーモア。一瞬実際の映像か、と思わせるようなフェイクのドキュを入れ込んでくるしたたかさ。しかしこれらをサラ・ポーリーは実に自然にあっけらかんと、かつ巧みに処理する。なかなか一筋縄では行かないが、押し付けがましさのないこの映画を観た人はそれぞれ深い余韻を内におさめて映画=人生の豊かさをしみじみと噛みしめることだろう。これは良かった。
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