チブ夫

インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌のチブ夫のレビュー・感想・評価

4.5
なんでコーエン兄弟の描く「虚無」はこんなにも人を惹きつけるのか。
終始虚ろな男の顔と、陰りの強い映像。

なかなか認められない自分の歌。家もない。だが信念は曲げない。
そんな男も亡き相棒に導かれるようにして、自分の歌を受け入れてくれる人々のいる居場所に戻ってくる。猫のように。

人生幸福なことだらけじゃない。この現実味や、肩身の狭い主人公像に、親しみを感じてならない。もう何回観たことか。
ラストでやんわり匂わされる希望。カメラの奥に小さく見切れるある男の登場。フォークだけで生きてきた主人公に差すほんの一筋の光を見逃さないでほしい。
チブ夫

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